遺言執行者について
遺言公正証書を作成するにあたっては,決めたとおりの手続をしてくれる「遺言執行者」を定めておくのが通常です。
特に,相続人以外の人に遺産を遺す「遺贈」の場合は,必ず指定しておくべきです。
(遺贈を受ける人を指定しておくと便利です。)
弁護士・司法書士を指定しておくと,費用はかかりますが,安心できます。
もちろん相続人の一人を指定することもできます。
(未成年者や破産者は指定できません。)
複数の遺言執行者を指定することもできますが,その場合は,「各自独立して執行業務を行なうことができる」旨を定めておかないと,常に全員そろわなければ執行業務を行なうことができなくなります。
遺言執行者を指定しておかないと,遺言者が死亡した後,家庭裁判所に指定の請求をしなければなりません。
現金・預貯金などの金融資産を複数の人に分けて遺す場合は,遺言の中で
「現金・預貯金その他の金融資産を引き下ろし,換価した金員の合計額から,遺言者の生前債務を弁済し,葬儀費用・供養料,遺言執行の費用及び遺言執行者に対する報酬を支払った残額を,次の者に各○分の1ずつ相続させる。」
と定め,更に遺言執行者の権限の項で,
「遺言執行者は,原則として,第○条記載の金融資産を換金し,又は引き下ろした上,これから遺言者の生前債務を弁済し,葬儀費用・供養料,遺言執行の費用及び遺言執行者に対する報酬を支払った残額を,第○条記載の各相続人に対し,本遺言の定めに従って計算配分し,交付すること。」
と定めておきます。
遺言執行者は,法定相続人全員の代理人とみなされます。
遺言執行者の,指定,就任,権限などについては,民法第1006条以下にくわしく規定されています。